【週刊銀高さん「デート」】



「あれ、銀さん久し振りだねェ」

暇そうに座っていた屋台のオヤジは、銀時を見て立ち上がった。

「すまねぇけど、一杯だけ頼むわ」

長椅子を跨ぎながら人差し指を立てる。

オヤジは頷きながらおもむろに酒の瓶を大儀そうに持ち上げ、コップに酒を注ぐ。

その様子を眠そうな目で銀時は眺めた。

並々と注がれた酒を目の前に置くと、
オヤジはまた椅子がわりにしていた逆さまに重ねられたビールケースにゆっくりと座った。


少しだけ酔いたい気分の時はこういう静かな場所を選ぶ。
この街の人間にしては物静かなオヤジの横顔ははじめてこの店に寄った時よりも老けたなと銀時は感じた。

「…今日は靄ってるねぇ、灯がぼやけてるよ」

オヤジの目は、ずっと遠くを見ていた。


霧と呼ぶ程ではなく、なんとなく視界が悪い日。
湿った川風も吹いてきて、不快な夜。



銀時は酒を一気にあおる。



「あぁ、多分、ありゃ客だな」


オヤジは遠くを見つめたまま、そう言った。



【終わり】
ヒトコト(2017/06/23)
Twitterの「週刊銀高」さんの2017年5月27日のお題「デート」。
長椅子にするか床几にするか悩んだ…。なんと二人とも会わずに終わってるんだけど。しかも別にこの屋台が
待ち合わせ場所じゃないんですよ…これ…。

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